図書館を活用して教科書代を浮かせる

現在、肺炎のデータ分析を行った記事を執筆中ですが、そこで医学書をいくつか読む機会がありました。しかし、医学書は1冊1万円以上するものも多く、全て読むならともかく一部しか引用しない場合はコスパが悪すぎます。

とはいえ、本屋で立ち読みするのも気が引けますし、何より中身をメモできないのが痛すぎます。医学書のレンタルサービスもいくつか調べてみましたが、使えそうなものを見つけることができませんでした。

本のレンタルで真っ先に挙がるのは図書館ですが、近頃はコロナウイルス感染拡大のせいで大学図書館が使えず、市立図書館など公共の図書館しか利用できません。大学図書館と比べて公共図書館医学書の品揃えが少なく、地元の図書館だけではほぼ確実に目的の図書を見つけることができません。


しかし、公共図書館でも上手く使えば、欲しい図書を見つけられる確率を上げることができます。この記事では、私なりの図書館の使い方を紹介します


複数の図書館を横断検索する

一般的に、どの図書館においても図書を検索するためのシステムが用意されていると思います。このシステムを使うことで、目的の図書がその図書館に所蔵されているかを調べることができます。

例えば、「細胞の分子生物学」という本を読みたいと思ったとき、購入するためには2万円必要ですが、図書館にあれば無料で読むことができます。ここで、この本が所蔵されているかを事前に調べれば、行ってみたけど無かったといったいった事態を防ぐことができます。


しかし、このシステムでは、せいぜい市内の図書館しか一度に調べられません。もし、県内の図書館全てを対象にしたい場合は、それぞれの市の検索サービスにいちいちアクセスして、手作業で調べることになります。それは非常に面倒です。


そこで、カーリルという横断検索サービスが有効です。このサービスでは、最大では都道府県単位で複数の図書館を対象に検索をかけることができます


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図では、関東に存在する全ての都県立の図書館に対して検索を行っています。同じことを従来の検索サービスで実行しようとすると、検索サービスを開いて検索するという作業を7回行わなければなりません。カーリルなら1回の検索で完結します


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しかし、カーリルには一つ注意点があります。それは、検索結果が正しいとは限らないという点です。

上画像はカーリルの検索結果で、下画像は東京大学OPACの検索結果です。注目してほしいのは図書の所蔵状況ですが、上下で結果が異なります。


まず、カーリルでは「貸出可」となっていますが、東大OPACでは「貸出中」となっているものがあります。どちらの情報が正しいかは不明ですが、結果に齟齬が見られるのは不安です。

次に、カーリルの検索結果には本郷キャンパスの結果しか表示されていません。見ての通り、東大OPACの結果では他のキャンパスの所蔵状況も表示されているため、カーリルにもこちらの結果が表示されないのは不自然です。

(ただし、カーリルでは検索対象が10図書館までなので、検索数限界に引っかかっている可能性はあります。)

いずれにしても、自分の想定通りに検索結果が表示されていない可能性があることを念頭に置く必要がありそうです。


類似の本を検索する

図書館の利用方法の一つとして、本棚を俯瞰して未知の図書を探索することができます。例えば、免疫学の本のラインナップを一目で確認するなどが可能です。

しかし、コロナウイルスが蔓延している現在では、実際に図書館に行くのは少々リスクがあります。そこで、似たようなことを検索サービスを使って実現できる方法を見つけました。

今回は、東京都立図書館の検索サービスでの実例を紹介します。


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これは、とある図書の検索結果です。図書館に所蔵されている図書には、日本十進分類法(NDC)という通し番号が付与されています。例えば、ロビンス基礎病理学という図書では、「491.6」が指定されています。

この通し番号は、図書のカテゴリごとに分類されています。実際に、「標準病理学」という図書も、NDCは「491.6」です。


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この性質を利用することで、類似の図書を検索することができます。今回の場合、「491.6」を検索条件に入力すれば、病理学に関する図書が表示されます。


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欲しい図書を他図書館から取り寄せる

もし、目的の図書が地元の図書館に無かった場合は、どうすればよいでしょうか。遠方にしか大きな図書館がない場合は、そこまで行くこと自体が大変です。

そんな人のために、いくつかの公共図書館では「相互貸借」というサービスを提供しています。例えば、東京都立図書館に所蔵されている図書を、近くの区の図書館から取り寄せることができます。


区市町村立図書館が所蔵していない資料に対し、利用者から要望があった場合、都立図書館の資料を区市町村立図書館に貸出して利用者の要望にお応えします。(一部協力貸出対象外の資料があります。)
区市町村立図書館に対する支援事業の概要


このようなサービスは、都道府県立の図書館ならどこでもやっているのではないかと思われます。私が在住している県でも、県立図書館の本を市立図書館から借りることができます。

実際に、今書いている研究報告記事では、このサービスで取り寄せた書籍を参考文献として利用しています。取り寄せ方法は図書館ごとに異なるでしょうが、私の場合は申請書を近くの図書館に渡すだけで、簡単に取り寄せることができました。


まとめ

本記事では、図書館を有効活用するための以下の3つの方法を紹介しました。


  • カーリルで複数の図書館の所蔵状況を横断検索する
  • NDC番号で類似の図書を網羅的に調べる
  • 相互貸借サービスで遠方の都道府県立図書館から図書を借りる


これらの方法を使えば、自分が欲しい本を見つけられる確率がある程度は増すと思います。実際にいくつもの図書館を探し歩くよりも効率的ですし、コロナ禍の今だからこそ必要だともいえます。


ただし、自分が欲している本は他の人も求めている本かもしれません。図書館である以上、貸出中のため利用できないといったことが往々にしてあるため、そこは注意するべきでしょう。

したがって、目的の本をすぐに手に入れたい場合は、Amazonなどから自費で購入せざるを得なくなるかもしれません。もし図書館の本を使いたいなら、なるべく早く行動すること、期限に余裕を持たせておくことが大切です。


以上です。